今月の臨床 卵巣がん—疫学から治療まで
疫学と動向
1.卵巣がんの動向
薬師寺 道明
1
Michiaki Yakusiji
1
1久留米大学医学部産婦人科
pp.768-769
発行日 1992年7月10日
Published Date 1992/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900913
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周知のように第2次世界大戦後は日本人のがんマップに変化がみられ,婦人科がんでも例外でない。なかでも注目されているのは卵巣がんの増加で,その死亡率が極めて高いことと相俟って大きな関心が寄せられている。
一方,卵巣がん患者の増加には種々の原因が挙げられているが,終戦後における日本人の生活様式の変化を指摘するものも多い。ちなみに,日本人が生活様式を最も模倣した米国の例をとると,1990年には約20,000人が卵巣がんに罹患し,そのうち12,000人が死亡したことが報告されている。この罹患数は,米国で出生した女児の70人に1人が将来卵巣がんに罹患することを示しており,日本においても将来このような傾向をたどることが予測される。
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