特集 想起できるかが分かれ道! 知っておきたい母体合併症
1. 周産期心筋症
神谷 千津子
1
,
吉松 淳
1
C. Kamiya
1
,
J. Yoshimatsu
1
1国立循環器病研究センター周産期・婦人科
pp.1-5
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000303
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周産期心筋症は,心疾患既往のない妊産婦が,重度の心機能低下に伴い心不全を発症する,いまだ原因不明の心筋症である。わが国における頻度は少ないが,母体死亡にも直結する疾患であり,早期に診断することが大事である。しかしながら,息切れや浮腫などの心不全症状は健常妊産褥婦も訴える症状であり,疾患認知度の低さと併せ,診断遅延や重症化の要因となっている。高齢,慢性高血圧や妊娠高血圧症候群の合併,子宮収縮抑制剤の使用や多胎が危険因子であり,6割以上の患者がこれらの危険因子を呈している。これら危険因子を持つ女性において,上記症状の訴えがないか注意し,過度の症状を認めれば心不全を念頭において検査することが大切である。
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