特集 身近に潜む心筋症を診る―進歩する診断と治療
[Chapter 3] 心筋症各論
周産期心筋症
神谷 千津子
1
1国立循環器病研究センター 産婦人科
キーワード:
妊娠・出産
,
心筋症
,
心不全
,
妊娠高血圧症候群
Keyword:
妊娠・出産
,
心筋症
,
心不全
,
妊娠高血圧症候群
pp.257-259
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_257
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★★★周産期心筋症(産褥性心筋症)は,心疾患既往のない妊産婦が原因不明の心機能低下に伴って,心不全を発症する特異な心筋症である.
★★本邦における発症率は約1人/1.5万分娩と,日常診療の場で遭遇する頻度は必ずしも多くはないが,主な母体死亡原因の一つであり,早期に診断することが重要である.
★疾患理解のうえで重要なことは,本疾患は除外診断病名であり,多様な疾患背景を含む疾患群ということである.そのなかで,妊娠高血圧症候群や多胎妊娠,母体高年齢が危険因子として知られ,約6割の患者はこれらの危険因子を有している.
★1~2割の患者において,心筋症関連遺伝子のtruncating variantを認める.心筋症の家族歴をもつ女性の妊娠・出産においても発症に注意が必要である.
★★★:一般内科診療で必要な内容,★★:総合内科専門医試験レベルの内容,★:専門性の高い内容
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