増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅲ. 産科編
❷周産期救急疾患への初期対応
周産期心筋症
神谷 千津子
1
1国立循環器病研究センター産婦人科
キーワード:
間質性肺炎
,
間質性肺疾患
,
薬剤性肺炎
Keyword:
間質性肺炎
,
間質性肺疾患
,
薬剤性肺炎
pp.239-244
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211234
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遭遇しやすい典型ケース
37歳,1経1産.強い呼吸困難感のため,救急車で来院した.1か月前に,妊娠38週で重症妊娠高血圧腎症を診断された.妊娠中の体重増加は15kgで,浮腫が顕著であった.分娩誘発を試みるも分娩停止のため,帝王切開術を施行された.分娩後数日の経過で血圧は正常域に回復したが,浮腫の軽減はなかった.分娩後から労作時の息切れ,倦怠感の自覚症状があったが,産後の症状と考え,産科主治医には伝えず,予定通りの日数で退院した.退院後,徐々に症状が強くなったが,我慢して育児を続けていた.1週間前に,安静時にも呼吸困難感が出現したため,近くの内科クリニックを受診した.気管支喘息と診断され,吸入薬が処方された.喘息治療は無効で,さらに症状が進行し起座呼吸となったため,家族が救急要請した.救急車内でのバイタルサインは,体温36.5℃,血圧146/90mmHg,脈拍120回/分,SpO2 90%(酸素投与により94%に改善)であった.なお,妊娠前の既往歴や心臓病の家族歴はない.
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