特集 早産リスクにどう向き合うか─最近の話題─
活性生菌製剤Probiotics(PB)の内服と早産抑制との関係
切原 奈美
1
,
上塘 正人
1
1鹿児島市立病院総合周産期母子医療センター
pp.887-892
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000063
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早産はこれまで,腟細菌叢の乱れによって生じる細菌性腟症が原因として考えられてきた。しかし最近の研究によって,早産症例における腸内細菌叢のバランス異常が明らかにされ,正期産症例と比較して特に酪酸菌(clostoridium)の減少が顕著であると報告されている。また,早産症例では腸管内で酪酸菌によって誘導される過剰免疫を抑制するregulatory T cell(Treg)の脱落膜での減少が報告されている。早産の原因として腸管内での酪酸菌の減少によりTregが減少し,その結果,脱落膜や頸管での免疫反応が過剰となり頸管が熟化し易く早産に繋がることが推察される。われわれは早産や後期流産既往妊婦に対して酪酸菌含有probioticsを投与し,早産抑制の可能性を見出した。考察を加えて概説する。
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