特集 早産リスクにどう向き合うか─最近の話題─
オメガ3 脂肪酸による早産予防
原 亜紀
1
,
永松 健
1
,
藤井 知行
1
1東京大学医学部産婦人科学講座
pp.893-897
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000064
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オメガ3脂肪酸は抗炎症作用を持つ。早産の原因は多種多様であるが,主要なものの1 つとして「炎症」が挙げられる。われわれは,そのような炎症性早産に対するオメガ3 脂肪酸の効果について,基礎,臨床の両面から研究を進めてきた。基礎研究では,体内の細胞でオメガ3脂肪酸の豊富な状態が維持されるマウスにおいて早産率低下を示し,そのマウス子宮における脂肪酸代謝物の包括的メタボローム解析により,EPA 由来の18-HEPE の産生増加を見出した。さらに野生型マウスに対する18-HEPEの投与,またその下流にある活性代謝物レゾルビンE3の直接投与が早産抑制効果を持つことも示した。臨床研究では,食事調査の結果から,妊娠34週以降の時期に早産(late preterm)であった妊婦は,正期産であった妊婦に比べ,妊娠後期のEPA/AA食事摂取量比が,有意に低いことが示され,EPA の積極的摂取は,妊娠後期の妊娠期間延長に寄与し,late preterm を予防する可能性が考えられた。
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