今月の主題 抗炎症剤の進歩と使い方
抗炎症剤の周辺
活性酸素と抑制剤
丹羽 靱負
1
1土佐清水病院
pp.1234-1236
発行日 1985年7月10日
Published Date 1985/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219843
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炎症反応と活性酸素
細菌などの異物の生体内への侵入に際し,好中球は単球とともに異物に対し貪食作用を行うが,その際,活性酸素(oxygen radicals:O2-,H2O2,OH・,1O2)(以下ORと略記)を発生し,ライソゾーム酵素(lysosomal enzymes,LEと略記)とともに胞体中の貪食物を融解し,ORの産生あるいはLEの分泌欠乏に基因したchronic glanulomatous disease,あるいはChediak Higashi症候群は有名で,貪食物融解作用低下のため易感染を反復する.一方,食細胞が過度に刺激されると,ORやLEの産生・分泌を増加し,細胞外にもORやLEが放出され,自己の組織に対しても融解作用を及ぼす.このような食細胞の組織への障害作用や,セロトニン,ヒスタミンなどの活性化に伴う血管の透過性の亢進などが協力して,細菌や異物の侵入による生体の炎症反応が成立する.
炎症時の組織障害作用は,LEが重要な役割を果たすとされていたが,近年ORによる組織障害のほうが強力で,auto-oxidative damage1〜3)として注目されてきた.
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