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腸内細菌叢と周産期医療 腸内細菌叢とプロバイオティクスによる早産の抑制
切原 奈美
1
1鹿児島市立病院総合周産期母子医療センター科長
キーワード:
早産
,
腸内細菌叢
,
プロバイオティクス
,
Clostridium
,
制御性T細胞
Keyword:
早産
,
腸内細菌叢
,
プロバイオティクス
,
Clostridium
,
制御性T細胞
pp.20-24
発行日 2019年8月20日
Published Date 2019/8/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0055.11.02_0020-0024
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早産は概して単一の疾患として取り扱われがちであるが,現在では感染,血管病変,脱落膜の細胞老化,子宮過伸展,プロゲステロンの作用低下,子宮頸管の疾患,免疫寛容の崩壊,ストレスなど多様な因子が複雑に影響して発症する症候群と理解されている1)。これらの因子のなかで,病態生理がある程度解明されているものは感染症を原因とする早産である。感染性早産の感染経路は上行性感染,経胎盤血行性感染,経卵管播種性感染があるが,約90%は腟からの上行性感染が原因2)と考えられており,腟細菌叢の異常は早産の大きな原因の1つとされてきた。しかし,細菌検査が培養によるものから,包括的網羅的検査であるメタゲノム解析に移行するに至り,正期産妊婦と早産妊婦の妊娠早期の腟細菌叢に差異を認めないことが報告されている2)3)。その一方で,腸内細菌叢の変化と妊娠合併症の関連性が免疫学的側面からクローズアップされている3)4)。本稿においては末梢性Tリンパ球寛容(Tolerance)として共通点のある腸内細菌と妊娠,早産の関係,およびプロバイオティクスの効果について考察を交えて概説する。「KEY WORDS」早産,腸内細菌叢,プロバイオティクス,Clostridium,制御性T細胞
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