症例
血液培養からnon-typable Haemophilus influenzaeが分離された小児侵襲性インフルエンザ菌感染症の1例
川﨑 達人
1
,
江崎 隆志
1
,
井瀧 亮
1
,
寺田 朱織
1
,
永井 晃歩
1
,
入間田 健
1
,
千賀 達子
1
,
松本 正太朗
2
,
古道 一樹
1
1東京都立大塚病院小児科
2国立成育医療研究センター集中治療科
pp.1182-1187
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003221
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Haemophilus influenzae(H. influenzae)はグラム陰性桿菌で,小児の侵襲性感染症および気道感染症の代表的な起因菌である.H. influenzaeは莢膜を有する莢膜型と莢膜をもたない無莢膜型(non-typable H. influenzae:NTHi)に大別される.H. influenzaeによる感染症は本来無菌的な部位から細菌が分離された場合,侵襲性インフルエンザ菌感染症(invasive Haemophilus influenzae disease:IHD)と診断され,感染症法に基づく全数把握疾患に指定されている.日本では2008年にH. influenzae type b(Hib)ワクチンが導入される以前は,IHDの原因となるのは主としてb型の莢膜を有するHibであった1).一方,NTHiは乳幼児の20~50%が鼻咽頭腔に保菌し,中耳炎や副鼻腔炎などの原因として一般的であると考えられてきた1).Hibワクチンが導入されて以降,NTHiによるIHDの報告が徐々に増加してきているが,いまだに報告は少ない.今回われわれは,血液培養からNTHiが分離され,NTHiによるIHDと診断した小児例を経験したので報告する.
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