貧血 実臨床に役立つ診療のポイントと最新の知見
輸血に伴う鉄過剰症の治療の進歩
鈴木 隆浩
1
1自治医科大学 医学部内科学講座血液学部門
キーワード:
鉄キレート剤
,
感染
,
血液製剤
,
造血
,
経口投与
,
予後
,
厚生労働省
,
診療ガイドライン
,
赤血球輸血
,
造血幹細胞移植
,
治療成績
,
鉄過剰症
Keyword:
Administration, Oral
,
Iron Chelating Agents
,
Hematopoiesis
,
Infection
,
Prognosis
,
Treatment Outcome
,
Erythrocyte Transfusion
,
Hematopoietic Stem Cell Transplantation
,
Practice Guidelines as Topic
,
Iron Overload
pp.313-318
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013260832
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日本の赤血球輸血製剤には,1単位あたり100mgの鉄が含まれている.過剰鉄は,肝臓,心臓,内分泌腺に沈着し,臓器障害を引き起こす.輸血後鉄過剰症の治療では鉄キレート剤が使用され,診療ガイドが発行されている.低リスクMDSでは鉄キレート療法による予後の改善が報告されている.ただし,高リスクMDSでの改善報告は現在のところない.造血幹細胞移植前の高フェリチン血症は全生存率,移植後非再発死亡のリスクファクターと考えられている.血清鉄の低下は,感染症に対して有利に作用する可能性がある.deferoxamineは細菌への鉄供給源として作用しうるため,使用後に感染症が増悪する可能性がある.感染合併例に対しては非シデロフォア型のdeferasirox(DFX)が有利と考えられる.機序は不明だが,鉄キレート療法後の造血改善例の報告が増えている.
©Nankodo Co., Ltd., 2013