綜説
やせの健康障害をめぐる問題
-――体質性やせについて
有阪 治
1,2
,
小山 さとみ
2
,
加納 優治
2
,
市川 剛
3
,
島田 由紀子
4
,
西連地 利己
5
1宇都宮脳脊髄センターシンフォニー病院
2獨協医科大学小児科
3那須赤十字病院小児科
4國學院大學人間開発学部子ども支援学科
5獨協医科大学看護学部看護医科学(基礎)領域
pp.365-373
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002995
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体質性やせ(CT)は,一般集団との比較において身長にくらべて体重が少ない体型である.低栄養はなく,エネルギーバランスに不均衡がない状態で低体重状態が持続し,過食をしても太らない.除脂肪量は少ないが,代謝性の高い除脂肪(筋肉)を有していることが体重増加への抵抗性の原因である可能性がある.体質的にやせていることの健康への影響はないとされてきたが,神経性やせ症と同様に骨粗鬆症のリスクがあることがわかってきた.神経性やせ症との鑑別には,生化学的マーカーとして遊離型T3(トリヨードサイロニン)およびレプチンの測定が有用である.最近,CTの病因遺伝子としてALK遺伝子の関与が報告された.本稿では,出生コホートの1,198人において,幼児期から思春期までやせが形成される過程を追跡したデータも報告する.
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