特集 子どもの検査値の判断に迷ったら
5章 血液凝固・線溶系検査
2.血液凝固検査
岡本 奈美
1
1労働者健康安全機構大阪ろうさい病院小児科
キーワード:
出血症状
,
血栓症状
,
敗血症
,
炎症
,
凝固線溶系
Keyword:
出血症状
,
血栓症状
,
敗血症
,
炎症
,
凝固線溶系
pp.1444-1449
発行日 2023年12月20日
Published Date 2023/12/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002835
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一般小児科診療において血液凝固検査を考慮する状況は,① 出血症状(刺激がない,あるいは見合わないくらい軽微な刺激・外傷での出血や止血困難で,皮膚の点状出血や紫斑,繰り返す鼻出血,口腔内などの粘膜出血,消化管出血,血尿,頭蓋内出血,関節内出血など)1),② 血栓症状(小児ではまれだが,深部静脈血栓症では下肢の腫れ・痛み・だるさ・色調変化などが,肺血栓では胸痛・呼吸困難などが,脳梗塞では手足のまひ・しびれ・構語障害などが,心筋梗塞では胸痛・肩への放散痛などが,腸間膜動脈血栓症では腹痛・血便などが,抗リン脂質抗体症候群では習慣性流産などがみられる.とくに動脈系の血栓症では虚血による強い痛みと組織壊死が特徴的である)2)3),③ 敗血症(sepsis)や播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)など生命を脅かす臓器障害をきたす疾患が疑われる症状(呼吸不全,ショック,意識障害,腎不全など)4),④ 高サイトカイン血症や血管炎症候群など強い全身性炎症をきたす疾患が疑われる症状(発熱,末梢循環不全,炎症反応性蛋白の高値,汎血球減少,皮膚の紅斑・紫斑・虚血性変化など)が代表的である5).進行すれば ③ や ④ でも出血症状や血栓症状を認めるようになるが,重篤な疾患群であるため,これらの症状出現前に疑うことが重要である.
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