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症例提示
■症例1
患者:77歳の女性.
病歴:めまいを主訴として近医を受診.メリスロン(R)とパナルジン(R)の内服投与が25日前から開始された.10日ほど前から黒色下痢便と上腹部不快感を生じ,再受診.止痢薬と健胃薬を処方されたが効果なく,次第に倦怠感が増強するため,当院受診となった.
身体所見:体温は38.4℃.傾眠傾向であった.口腔内粘膜に血腫と点状出血を,下肢にも点状出血を少数認めた.
検査所見:血液検査は白血球9,000/μl,血小板0.6×104/μl,Hb 11.7g/dl,検鏡上破砕赤血球を認めた.PT 92.0%,APTT 32.4 sec(<40),Fibrinogen 354.0 mg/dl, D-dimer 4.9 mg/ml,AST 105 IU/l,ALT 37 IU/l,LDH 3,056 IU/l,D-Bil 1.2 mg/dl,BUN 79.6 mg/dl,Cr 2.3 mg/dl,Coombs試験は陰性であった.尿検査では,蛋白(3+),沈さで赤血球>100/HPF,顆粒円柱20/HPFであった.骨髄は過形成性であり,血球形態異常は認めず,巨核球の増加・減少はなく,血小板産生像は正常であった.
■症例2
患者:28歳の女性.
病歴:とくに既往症はなく,継続使用薬もない.甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)の診断にて,7週間前よりメルカゾール(R)30mg/日の投与が開始された.5日前から発熱および両頸部のリンパ節腫脹を生じたため,解熱薬と内服抗生物質が処方された.メルカゾール(R)の内服は継続されていた.発熱が続き,咽頭痛・耳痛も認めるようになり,当科に紹介受診となった.
身体所見:咽頭発赤,両扁桃腫脹および頸部に圧痛を伴うリンパ節腫脹を認めた.甲状腺はびまん性に腫脹していた.
検査所見:血液検査はHb 13.9g/dl,血小板19.5×104/μl,白血球1,100/μl(好中球0%,リンパ球100%)と無顆粒球症を認めた.骨髄検査での骨髄は低形成性であり,骨髄球系細胞0%,赤芽球系細胞15.6%,明らかな形態異常は認めなかった.CRP 23.51 mg/dlと高値であった.
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