特集 子どもの検査値の判断に迷ったら
3章 髄液一般検査/胸水・腹水検査
4.髄液免疫グロブリン,オリゴクローナルバンド,ミエリン塩基性蛋白
山田 隆太郎
1,2
,
渕上 達夫
1,2
1イムス富士見総合病院
2日本大学小児科学系小児科学分野
キーワード:
髄液免疫グロブリン
,
オリゴクローナルバンド
,
ミエリン塩基性蛋白
Keyword:
髄液免疫グロブリン
,
オリゴクローナルバンド
,
ミエリン塩基性蛋白
pp.1398-1399
発行日 2023年12月20日
Published Date 2023/12/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002826
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髄液免疫グロブリンが増加するのは中枢神経系内での抗体産生や炎症などによる血液髄液関門の透過性亢進によるものとされるが,膠原病や骨髄腫などの血清IgGの高度の増加による二次的な影響のこともある.髄液中の免疫グロブリンのほとんどがIgGであるが,血清IgGの影響を受けるため,絶対値でなくIgG%(=髄液IgG/髄液総蛋白×100)でIgGの増加を評価する(基準値:8~14%).次いでIgGの増加の原因について,中枢神経系内でのIgG産生についてはIgG indexで,血液髄液関門の透過性についてはalbumin indexで評価を行う(図).IgG indexが基準値以上(2 SD以上)であれば中枢神経内でのIgG産生,albumin indexが基準値以上であれば血液髄液関門の透過性の亢進を考える.それぞれの原因疾患について表記する(表1).さらにはIgG産生の原因について,髄液内で特定のウイルス抗体が産生されていれば病因の特定につながる.血液髄液関門からの移行と鑑別するため,antibody indexで評価する(図).antibody indexが2を超える時は,そのウイルス抗体が中枢神経系内で産生されたと考えられ,病因が特定される.
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