特集 子どもの検査値の判断に迷ったら
1章 尿一般検査
1.検査の種類と原理・読み取り方とその限界
島袋 渡
1
,
中西 浩一
1
1琉球大学大学院医学研究科育成医学(小児科)講座
キーワード:
尿一般検査
,
尿試験紙検査
,
尿沈渣検査
,
尿生化学検査
Keyword:
尿一般検査
,
尿試験紙検査
,
尿沈渣検査
,
尿生化学検査
pp.1336-1340
発行日 2023年12月20日
Published Date 2023/12/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002813
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尿検査は,日常診療においてしばしば行われる検査であり,患児(患者)に苦痛を与えることなく実施することが可能である点が大きなメリットである.その検査結果を十分に解釈できれば,腎炎や尿路感染症などの重大な腎疾患が疑われる患児を選別することが可能であり,また不要な検査を減らすことにもつながる.また,わが国では3歳児検尿(1961年導入),学校検尿(1974年導入)などの検診システムが整備されているため,小児の慢性糸球体腎炎であるIgA腎症の70~80%,膜性増殖性糸球体腎炎の65~80%が早期の段階で発見されている1).検診陽性所見者の適切な管理により,腎疾患の早期発見,早期治療が可能となり,ひいては小児期において腎代替療法(腎移植,腹膜透析,血液透析)導入が必要な新規患者数を減少させる,あるいは腎代替療法導入時期を遅らせることにつながっている2).実際,慢性糸球体腎炎を原因としての小児期透析導入患者の割合は,学校検尿導入前から初期にあたる1968年~1980年3月の49.5%から1998年~2005年の13.9%まで減少している3).小児期透析導入患者の割合の推移を表1に示す.
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