３．新生児仮死 -――予想していない出生直後の急変をどう伝えるか

わが国の新生児死亡率は，2010年代に1.0まで低下し，世界で最も新生児が死亡しない国となった．この事により「赤ちゃんは元気に産まれてくるもの」との認識が言うなれば常識になったと言える．そのような中，誕生したばかりの児が重症新生児仮死など直ちに治療を要する状態だと知らされた時，両親や家族が抱く事が予想される混乱や不安は，われわれの想像を遥かに越えている事だろう．子どもが新生児仮死で出生するという想定外の事態に直面した両親や家族に対し，新生児医療に従事するわれわれは，どのように情報を提供しサポートしていくかについて考察する．