綜説
慢性閉塞性肺疾患(COPD)に至る胎児期・小児期の肺機能の低成長
泉 信夫
1
1元・出雲市立総合医療センター小児科
キーワード:
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
,
肺機能軌道
,
小児期
,
肺機能の低成長
,
危険因子
Keyword:
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
,
肺機能軌道
,
小児期
,
肺機能の低成長
,
危険因子
pp.653-659
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002194
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因として,喫煙による肺機能の速い低下に加え,20歳過ぎでの低い最大到達肺機能が注目され,後者が約半数を占め得る.それは胎児期・小児期の肺機能の低成長を示し,危険因子には,母親の喫煙,早産(とくに気管支肺異形成症の合併),3歳未満の重症下気道感染症,3歳未満からの持続性喘息とアレルギー感作などがあり,遺伝要因も小さくない.今後,喫煙率の低下に伴い肺機能の低い最大到達値によるCOPDの割合は増えてくる可能性がある.したがって,COPD対策に小児科医もかかわるべきである.小児期から無症状の場合も含めての適宜な肺機能検査が望まれる.低肺機能児には受動喫煙回避と成人後の喫煙防止をより強く勧め,また,情報を40歳頃には小児科医から呼吸器内科医に引き継ぐ方策を考えたい.
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