特集 小児の腎疾患を見つめ直す――基礎と臨床
5.IgA腎症の発症機序
柳原 剛
1
1日本医科大学付属病院小児科
キーワード:
糖鎖異常IgA1
,
粘膜免疫
,
ポドサイト
,
補体
,
レクチン
Keyword:
糖鎖異常IgA1
,
粘膜免疫
,
ポドサイト
,
補体
,
レクチン
pp.611-616
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002188
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IgA腎症は,1968年にBergerによって報告された疾患概念であるが,その発症機序はいまだ解明されていない.IgA腎症発症への病態形成は,遺伝的要因を背景に感染などの刺激を契機に始まる.続く糖鎖異常IgA1の産生や糖鎖異常IgA1に対する自己抗体の産生,糸球体への沈着,補体の活性化など複数の過程のうちいくつか(またはすべて)の異常が組み合わさることによってIgA腎症が発症すると考えられている.近年のさまざまな報告から,腎臓,粘膜面,骨髄それぞれに異常があり,それらが複雑に絡み合ってIgA腎症の病態を形成していると考えられている.
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