特集 小児科医に必要な止血・血栓・凝固・線溶の基礎知識
10.小児期に遭遇する血栓症
小倉 妙美
1
1静岡県立こども病院血友病診療センター
キーワード:
新生児
,
深部静脈血栓症
,
静脈血栓塞栓症
,
遺伝性血栓症
,
後天性血栓症
Keyword:
新生児
,
深部静脈血栓症
,
静脈血栓塞栓症
,
遺伝性血栓症
,
後天性血栓症
pp.1677-1686
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002013
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小児の血栓症は,遺伝性素因,基礎疾患を背景に感染や脱水・外傷を契機として発症する.血栓形成部位によっては重篤な合併症を残し,死に至ることもある.小児期は凝固因子と凝固調節因子の活性が生理的に低く,新生児期はとくにばらつきが大きい.活性値の評価は年齢基準値を用いて行う必要があるが,単独の活性値のみで予測することは難しい.しかし血栓症をきたす患者は,健常人とくらべると高率に遺伝性血栓症が隠れており,その発端者を契機に家族内の診断がなされることもある.年齢基準とくらべて活性値が低く,とくに他の血栓症の原因がない場合には遺伝性血栓症を疑い,遺伝子解析を進める必要がある.
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