特集 日常診療で先天代謝異常症を見逃さないために
7.糖原病(グリコーゲン病)
大矢 寧
1
1国立精神・神経医療研究センター病院脳神経内科
キーワード:
肝腫大
,
低血糖
,
肥大型心筋症
,
巨舌
,
横紋筋融解症
Keyword:
肝腫大
,
低血糖
,
肥大型心筋症
,
巨舌
,
横紋筋融解症
pp.1399-1408
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001479
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① 脾腫のない肝腫大や空腹時ケトーシス・低血糖で肝型糖原病を疑う.空腹時高乳酸血症,高尿酸血症,高脂血症でⅠ型を疑う.食後高血糖,10歳以降でのタンパク尿・腎腫大や肝腫瘍にも注意する.血糖正常のケトーシス,食後高乳酸血症はⅨ型やⅥ型を疑う.② 糖原病Ⅱ型(Pompe病)は発症時期で臨床像が異なる.フロッピーインファントで巨舌や肥大型心筋症があればPompe病を疑う.遅発型Pompe病はまれだが,肝機能障害では高CK血症を見逃さず,喘嗚や排痰障害に注意する.酵素補充療法の早期開始のために乾燥濾紙血スクリーニングを行うが,酵素活性だけでは診断できない.③ 急速な強い運動負荷での横紋筋融解症では,糖原病Ⅴ型などの解糖系異常を考える.④ まれな病型も多い.確定診断は生検組織(ないし血球)の病理と生化学,遺伝子診断になる.
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