５．先天代謝異常症

肝機能障害は，さまざまな原因で生じる所見である．そのなかに，先天代謝異常症に分類される疾患もいくつか含まれている．最も大切なことは，肝障害をみた時に「先天代謝異常症もあり得る」と考えて診療を行うことである．とくに，何らかの神経症状を合併している時や，複数の臓器に障害を有する症例では，先天代謝異常症は必ず鑑別すべき疾患である．また，肝機能障害のみの症例でも，ウイルス性肝障害が否定された場合や本来回復すべき時期になっても異常値が遷延している場合は先天代謝異常症を鑑別に挙げる必要がある．