綜説
パレコウイルスA感染症
-―診断とこれからの課題
齋藤 昭彦
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野
キーワード:
パレコウイルスA
,
新生児
,
早期乳児
,
診断
,
PCR法
Keyword:
パレコウイルスA
,
新生児
,
早期乳児
,
診断
,
PCR法
pp.309-314
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001225
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パレコウイルスA(Parechovirus A:PeV-A)は,ピコルナウイルス科の一本鎖RNAウイルスであり,多くの場合,軽症の上気道炎,胃腸炎を引き起こす.一方で,パレコウイルスA3(Parechovirus A3,PeV-A3)は,新生児や早期乳児に敗血症や髄膜脳炎などの重症感染症を引き起こすため,小児科領域でとくに注目されている新興感染症である.重症例では,後遺症を残したり,死亡例も報告されている.診断には,頻脈,手掌や足底の紅斑,腹部膨満と臍の突出などが特徴的な身体所見で,血清や髄液を用いたPCR法が有用である.遺伝子型の同定には,特定の領域の遺伝子のシークエンス解析が必要である.現在,PeV-A3に対する有効な治療法はない.その診断と治療には未解決の課題が多く,今後,さらなる研究が必要な感染症である.
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