症例
退行を示したnon-thyroidal illness syndromeの乳児例
里 龍晴
1
,
小林 奈穂巳
1
,
森内 浩幸
1
1長崎大学病院小児科
キーワード:
non-thyroidal illness syndrome
,
低栄養
,
退行
Keyword:
non-thyroidal illness syndrome
,
低栄養
,
退行
pp.1837-1840
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001140
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甲状腺に異常がないにもかかわらず,種々の疾患などに際して甲状腺機能異常が現れる状態を,低トリヨードサイロニン(T3)症候群(low T3 syndrome),またはeuthyroid sick syndromeとよび,このような状態をきたす疾患・病態をnon-thyroidal illness syndrome(NTI)と総称する1).軽症者ではT3濃度のみが低下し,さらに重篤になるとサイロキシン(T4)濃度も低下し,甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度にも異常をきたすことがある.NTIを引き起こす病態として低栄養状態,消耗性疾患,感染症,悪性腫瘍,代謝性疾患,腎不全,心筋梗塞など,急性あるいは慢性のさまざまな疾患やステロイドやβブロッカーなどの種々の薬剤が知られている.
今回われわれは退行を主訴に来院し,低栄養によるNTIと診断した11か月女児を経験した.乳児期のNTIに関しての報告は散見されるが,本症例のように退行をきたした報告はなく,貴重な症例と考えられたため報告する.
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