連載 [小児科臨床教育の実際]
第1回 「子どもを診る能力」の育成
-―卒前教育・初期研修・専門研修
鈴木 康之
1
1岐阜大学医学教育開発研究センター
pp.75-81
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000735
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あらゆる診療科において子どもを診る機会は存在し,「子どもを診る能力」は,どの分野の医師にとっても必要である.しかしながら,過去において小児科教育は数多くの診療分野の一つにすぎないとみなされ,卒前の小児科臨床実習は2週間程度の大学が多く,2007年度の全国調査では平均2.3週と貧弱なものであった1).新医師臨床研修制度がスタートし,小児科研修1か月以上が必修となったが,2010年度から選択必修へと後退し2),小児科を選択しない研修医の診療能力の低下が示唆されるに至り3),2020年度から小児科が必修診療科として復活することとなった4).海外に目を向けると,小児科教育は重要診療科として位置づけられており,カナダでは小児科臨床教育のナショナル・カリキュラムが制定され5),8週間程度の卒前臨床実習が行われている.また米国カリフォルニア州では,卒後研修を受けるためには卒前6週間の小児科実習が必要条件となっている6).わが国では従来こうした実習期間の数値目標は存在しなかったが,最新の医学教育分野別評価日本版ver. 2.37)(2.5臨床医学と技能,注釈)において,小児科は内科・外科・精神科・総合診療/家庭医学・産婦人科と並んで重要な診療科として位置づけられ,4週間以上の実習が推奨されている.
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