綜説
急性虫垂炎の治療方針―保存的治療と手術
黒田 達夫
1
1慶應義塾大学医学部小児外科
キーワード:
小児急性虫垂炎
,
active observation
,
保存的治療
,
interval appendectomy
Keyword:
小児急性虫垂炎
,
active observation
,
保存的治療
,
interval appendectomy
pp.1227-1232
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000176
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近年,急性虫垂炎の初期治療は外科手術のみならず内科的抗感染治療も重要な選択肢となっている.本稿では日本小児救急医学会の診療ガイドラインに沿って近年の急性虫垂炎の診療方針を解説した.診断確定困難例に一定間隔で評価を反復するactive observation は陰性切除率を低下させた.保存的治療は超音波画像で虫垂壁の層構造に不整のない症例が主な対象で,成功率₉₅〜₁₀₀%,再発率₁₀〜₂₇%とされる.interval appendectomy は腫瘤形成性虫垂炎を対象に抗菌薬治療による感染鎮静後数カ月をおいて虫垂を切除する方法で,合併症率を₃.₄%まで低下させたとされる.初期治療として手術が選択されても,近年,深夜の緊急手術は推奨されていない.これら治療方針の変化を理解して急性虫垂炎症例に対応する必要がある.
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