研究
上肢外傷の労働災害事故発生の個人的要因の検討 変性疾患患者との注意機能の比較
白戸 力弥
1
,
太田 久晶
2
,
入船 秀仁
3
,
射場 浩介
4
,
石合 純夫
5
,
山下 敏彦
4
1北海道文教大学人間科学部,作業療法学科
2札幌医科大学保健医療学部,作業療法学科
3札幌医科大学医学部,救急医学講座
4札幌医科大学医学部,整形外科学講座
5札幌医科大学医学部,リハビリテーション医学講座
キーワード:
Attentional function
,
Work-related accidents
,
Upper extremity trauma
Keyword:
Attentional function
,
Work-related accidents
,
Upper extremity trauma
pp.823-829
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/seJ.0000000074
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上肢外傷の労働災害(以下,労災)事故の発生を予防するため,環境要因に関する疫学的検討が行われてきた。しかし,個人的要因を検討した報告は少ない。われわれは,不注意で生じた労災事故による上肢外傷患者11 例(男性9 例,女性2例,平均46 歳)と上肢の変性疾患患者11 例(男性6 例,女性5例,平均56 歳)の注意機能を標準注意検査法(CAT)により比較検討した。CAT の各サブテストで成績低下を認めた平均人数は労災患者群が3.2例,変性疾患患者群が1.0例と労災患者群で有意に多かった。また,課題別では記憶更新検査の4 桁において,労災患者群の有意な成績低下を認めた。記憶更新検査は注意の分配能力や変換能力,作動記憶を必要とする課題であり,これらの機能の低下が労働中のヒューマンエラーを引き起こし,上肢外傷の労災事故を発生させる個人的要因となる可能性が考えられた。
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