50歳以上の女性における橈骨遠位端橈側部および尺側部の傾斜角

Tilting angles of radial and ulnar sides of the distal part of the radius in women over 50 years old

要旨：掌側ロッキングプレート（PLP）での支え効果が及びにくい橈骨遠位端の橈側部と尺側部の骨形態を，コンピュータ断層撮影（CT）で調査した。橈骨遠位端骨折を受傷した50歳以上の女性を対象とし，健側手関節の三次元CTから橈骨遠位端の掌橈側部の傾斜角，CT横断像から掌尺側部の傾斜角を調査した。対象症例は女性96例であり，年齢は51～94（平均70）歳であった。橈骨遠位端掌橈側部は50°程度背側へ傾斜し，掌尺側部の骨皮質は尺側部の突出点から遠位橈尺関節の掌側縁に向けて約30°背尺側方向に傾斜していた。舟状骨窩を含む橈骨茎状突起掌側部や遠位橈尺関節を構成する橈骨遠位端尺側部の骨皮質はいずれも背側に向けて傾斜しており，掌側からの設置となるPLPではこれらの部位に対して十分な支え効果を獲得することは難しいと考える。