特集 整形外科の外傷治療-現状と課題-
Ⅲ. 脆弱性骨折治療,二次骨折予防の現状と課題
橈骨遠位端骨折
安部 幸雄
1
1山口県済生会下関総合病院整形外科
pp.81-89
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000000273
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橈骨遠位端骨折は現在,わが国で年間約11万人の発症とされ,大腿骨近位部骨折とともに整形外科医にとって遭遇する頻度の高い骨折である。近年,本骨折の治療戦略は大きな変化をみせている。掌側ロッキングプレート固定が手術治療の gold standard となり,その功罪が明らかとなりつつある。プレートにより強固な固定が獲得され,術後の外固定が不要で早期の社会復帰が可能となった。これにより高齢者に対する手術適応も拡大した。一方,プレートの不適切な使用による屈筋腱,伸筋腱断裂などの合併症が増加している。またさまざまな骨折型に対する種々のプレートの適切な選択も術者の技量の1つであり,そのためには橈骨遠位の解剖を熟知することが重要である。各種プレートの固定性,術後成績のエビデンスも明らかにする必要がある。今後,高齢者の増加に伴い本骨折の症例数の増加も予想される。いかに予防するか,また本骨折発症後の他の脆弱性骨折発症の連鎖を防止するために,骨粗鬆症に対する治療は重要と考えられる。
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