はへほ調music scene
シェーンベルク 弦楽六重奏曲「浄められた夜」 作品 4
屁浄心
pp.584-585
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200597
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女が或る男と夜道を歩いている。その女は身ごもっているのである。そして未だ胎児の性別もわからないというのに,その男の子供でないことだけは確実なのである。
…このような状況に置かれた経験のある読者がいれば,執筆を替わってもらいたいくらいである。第三者としては,この先の事態展開に興味が尽きないところであるが,一人称の状況では「興味深い」などと悠長な事を言っている暇は無いだろう。女は妊娠していることを告げ,しかも自分の腹にいるのは別の男の子供であることまで告白するのである。
低予算で製作する安直なドラマなら,逆上した男が女の不貞を詰り,暗い夜道で女の頸部に手をかけるかもしれない。あるいは,耳を覆いたくなるような痴話喧嘩が始まるかもしれないが,幸い人家も疎らな夜道では,どんな大声を上げようとも,近所迷惑にはならないのである。
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