思春期および若年成人（AYA）世代の股関節疾患

Hip disorders in adolescent and young adult generation

要旨：股関節診療において思春期および若年成人（AYA）世代の患者は多くないが，各々が抱える股関節疾患は多彩であり，病態やエビデンスを考慮した考え方が求められる。寛骨臼形成不全症や小児疾患に続発する二次性変形性股関節症が多く，続いて大腿骨頭壊死症や大腿骨寛骨臼インピンジメント（FAI），関節唇損傷などが挙げられる。そのほか，産前産後の股関節症，大腿骨頭すべり症，単純性骨囊腫，類骨骨腫，体軸性脊椎炎などがAYA世代の股関節診療において遭遇しうる疾患である。手術的治療を選択する場合には，可能な限り自骨を用いた骨切り術を選択したい。被覆に乏しいもの，股関節外転時の関節適合性がよいものには寛骨臼回転骨切り術（RAO）を適応とし，亜脱臼傾向を呈していないものには棚形成術を適応としている。一方，人工股関節全置換術（THA）は技術の進歩とともに成績が向上しているため，股関節の形態や患者各々のライフスタイルによっては適応になりうる。