特集 白血病診療の新展開
思春期若年成人(AYA)世代急性リンパ性白血病の特徴と治療
早川 文彦
1
1名古屋大学大学院医学系研究科病態解析学講座 教授
キーワード:
思春期若年成人
,
AYA世代
,
急性リンパ性白血病
Keyword:
思春期若年成人
,
AYA世代
,
急性リンパ性白血病
pp.45-48
発行日 2019年10月20日
Published Date 2019/10/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.37.10_0045-0048
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がん領域における思春期若年成人(adolescent and young adult:AYA)世代とは,小児科でも診療を行う可能性があるが小児ではない世代,あるいは小児ではないが一般の成人とも異なる心理的,社会的背景をもつ世代として,もともとは15~24歳程度の年齢層を指す言葉であったが,最近米国国立がん研究所(National Cancer Institute:NCI)がAYA世代を15~39歳と定義した影響を受けて15~39歳を指す言葉として使用されることが多い。急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia:ALL)は小児と高齢者に発症のピークをもつ疾患で,小児科,内科それぞれの臨床研究グループにより治療法が開発されてきた。AYA世代はどちらのグループにとっても対象年齢の上限あるいは下限に位置し患者数も少なく,治療法開発の対象として注目されることは少なかった。しかし,2000年にAYA世代ALLは小児ALLのプロトコールで治療をしたほうが治療成績良好である可能性が後方視的研究で示されて以来,これを検証したり,小児型治療の適用をより高齢の成人にまで拡大してALL全体の治療成績をあげる研究が世界各国で行われている。そうした研究では5年生存率が40%程度であったものが70%近くにまで上昇するという劇的な改善を認めているものもある。さらに,昨今の網羅的な遺伝子解析によりAYA世代に特徴的な遺伝子異常の存在も明らかになり,病態の理解も進みつつある。なお本稿は自著論文1)2)に最新データを加筆,編集して作成した。「KEY WORDS」思春期若年成人,AYA世代,急性リンパ性白血病
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