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特集 骨折治療の現在地を知る!
Ⅵ.感染・偽関節
偽関節患者に対する自家末梢血CD34陽性細胞移植による骨・血管再生医療について
Regeneration therapy of bone and vessel by transplantation of autologous CD34-positive cells
大江 啓介
1
,
新倉 隆宏
2
,
福井 友章
1
,
隈部 洋平
1
,
松本 知之
1
,
黒田 良祐
1
Keisuke OE
1
,
Takahiro NIIKURA
2
1神戸大学大学院医学研究科外科系講座,整形外科学
2兵庫県立西宮病院,整形外科
キーワード:
Nonunion
,
Regeneration
,
CD34-positive cell
Keyword:
Nonunion
,
Regeneration
,
CD34-positive cell
pp.681-687
発行日 2024年4月30日
Published Date 2024/4/30
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002981
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血管内皮前駆細胞は1997年にヒト末梢血中のCD34陽性細胞として初めて同定された。われわれは血管形成に関与するこの細胞に注目し,動物実験で末梢血CD34陽性細胞が難治性骨折の骨癒合を血管再生のみならず骨形成の面からも促進するというエビデンスを得た。この結果を踏まえて第Ⅰ・Ⅱ相臨床試験,続いて多施設共同医師主導治験を実施した。治療法の概略は,適切な整復固定と自家骨移植を行った後,自家末梢血からアフェレーシス,細胞分離操作によって得たCD34陽性細胞をアテロコラーゲンゲルに包含して局所に注入するものである。全例で骨癒合が得られ,過去に当院にて骨移植を併用し治療を行った大腿骨あるいは脛骨偽関節患者との比較において,有意差をもって早期に骨癒合が得られた。また,細胞移植や治験機器に対する有害事象は認めず,安全性も証明された。自家末梢血CD34陽性細胞移植は新たな骨癒合促進法となることが十分期待でき,実用化が有望である。
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