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特集 整形外科疾患における性差
疼痛における性差
The sex differences of the pain
丹羽 英美
1
,
井上 真輔
1
,
永井 修平
1
,
尾張 慶子
1
,
牛田 享宏
1
Hidemi NIWA
1
1愛知医科大学,疼痛医学講座 疼痛緩和外科・いたみセンター
キーワード:
Sex differences
,
Pain
,
Hormone
Keyword:
Sex differences
,
Pain
,
Hormone
pp.1567-1571
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002801
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要旨:痛みには性差があるといわれている。実験的研究においても痛みの感じ方や感覚において性差がある。変形性膝関節症などの一般的な疾患にとどまらず,線維筋痛症などの難治性慢性疼痛疾患においても女性の罹患率が高い。このような痛みの性差には性腺ホルモンや内因性オピオイド神経機能が関与している。女性ホルモンであるエストロゲンは急性の侵害受容性疼痛に対する鎮痛作用は乏しいといわれてきたが,近年,中枢神経レベルにおけるsubstance P(SP)やcalcitonin gene-related peptide(CGRP)などに作用して痛覚感受性を低下させるという報告がある。一方男性ホルモンのテストステロンは急性痛の防御的作用に加え,慢性痛の痛みを緩和させる作用を併せもつといわれ,内因性オピオイドペプチドであるエンドルフィンの放出を促進し,鎮痛作用を高める可能性が示唆されている。性腺ホルモンなどの新たなアプローチの研究が,治療に難渋する慢性疼痛患者の痛み診療において,一助となることが大きく期待される。
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