Japanese
English
特集 変形性関節症の病態に迫る―疾患修飾による治療を展望して―
新規NF-κBシグナル促進因子(GRK5とIKKε)の阻害薬(アンレキサノクス)を用いたOA治療薬開発
Development of OA treatment by inhibitor(Amlexanox)against novel targets of NF-κB signaling(GRK5 and IKKε)
赤崎 幸穂
1
,
居石 卓也
1
,
内田 泰輔
1
,
廣瀬 良太
1
,
兵藤 裕貴
1
,
境 真未子
1
,
中島 康晴
1
Yukio AKASAKI
1
1九州大学,整形外科
キーワード:
Amlexanox
,
GRK5
,
IKKε
Keyword:
Amlexanox
,
GRK5
,
IKKε
pp.1441-1450
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002770
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨:NF-κBシグナルの亢進は,細胞の炎症性異化反応の主軸として変形性関節症(OA)の病態生理に広く関与する。本稿で着目した治療標的のG protein-coupled receptor kinase 5(GRK5)およびIκB kinase-ε(IKKε)は,IκBαをリン酸化してNF-κBシグナルの活性化を促進する。また近年,GRK5とIKKεを阻害する化合物として既存薬のアンレキサノクスが特定された。これらの背景から,われわれはGRK5とIKKεがOA病態にどう関与しているか,そしてアンレキサノクスがOA疾患修飾効果をもつか,どう実薬化していくかを研究している。これまでの成果として,① ヒトOA軟骨およびマウスOAモデルにおける病態特異的強発現があり,② 軟骨細胞に対するgain-and loss-of-function mutationによる双方向作用を認め,③ IκBのリン酸化に機能的に関与し,④ マウスOAモデルへのアンレキサノクスの関節内投与が軟骨変性抑制に有効であることなどを明らかにした。以上から,アンレキサノクスはGRK5とIKKεを阻害することで,NF-κB経路を制御するOA治療薬として期待できる。
Copyright © 2023, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.