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特集 変形性関節症の病態に迫る―疾患修飾による治療を展望して―
細胞内代謝変動の制御を介した軟骨保護作用の検討
Mechanisms of chondroprotective effects via regulation of intracellular metabolic changes
寺部 健哉
1
,
高橋 伸典
2
,
小嶋 俊久
3
,
大橋 禎史
2
,
浅井 秀司
1
,
今釜 史郎
1
Kenya TERABE
1
,
Nobunori TAKAHASHI
2
,
Toshihisa KOJIMA
3
1名古屋大学大学院医学系研究科 総合医学専攻 運動・形態外科学,整形外科/リウマチ学
2愛知医科大学医学部,整形外科
3独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター,整形外科
キーワード:
Osteoarthritis
,
Metabolic changes
,
AMP-activated protein kinase
Keyword:
Osteoarthritis
,
Metabolic changes
,
AMP-activated protein kinase
pp.1451-1458
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002771
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要旨:変形性膝関節症(膝OA)に対する有効な進行抑制薬はいまだ存在せず,社会的にも求められている。われわれは膝OAを慢性炎症に伴う代謝性疾患の一つとして認識し,細胞内の代謝変動の制御が膝OAへの新規治療となりうると考えている。これまでの検討から炎症下の軟骨細胞では嫌気性解糖(glycolysis)が亢進するなど複数の細胞内代謝変動が発生していた。この細胞内代謝変動を制御しているのがAMP-activated protein kinase(AMPK)であり,AMPK活性化の低下が軟骨細胞に多面的な変化をもたらし膝OAへと進行する。われわれはAMPKの活性化が軟骨保護作用を有することを発見し,細胞内代謝変動の制御が膝OA治療薬になりうる可能性を見いだした。さらに,膝OAは他の加齢関連疾患と同様に,慢性炎症を伴った細胞老化によるinflammagingの病態が関与している。細胞内代謝性変動は細胞老化に伴う慢性炎症と密接な相互作用があることが指摘されており,AMPK活性化によりinflammagingの病態改善が期待できる。この観点から,膝OAへの新規治療法として,他の加齢性疾患と共通の病態メカニズムから介入する治療アプローチを検討している。
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