Japanese
English
特集 腰痛診療の深化―“標準” と “こだわり” を知り診療に生かす
骨粗鬆症,筋量低下と腰痛
Relation among muscle volume, osteoporosis, and low back pain
大鳥 精司
1
,
折田 純久
1
,
稲毛 一秀
1
,
志賀 康浩
1
,
江口 和
1
Seiji OHTORI
1
1千葉大学大学院医学研究院,整形外科学
キーワード:
Low back pain
,
Muscle
,
Bone
Keyword:
Low back pain
,
Muscle
,
Bone
pp.941-949
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002642
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要旨:椎体には洞脊椎神経から分岐する感覚神経線維が内外に分布し疼痛発生に関与する。椎体由来疼痛の発生機序には外傷や感染など外的要因に由来するものと,骨粗鬆症などによる内的要因によるものが挙げられる。骨折のない骨粗鬆症自体も痛みの要因となりうるとの報告が散見され,その腰背部痛の機序と治療に関して述べた。骨粗鬆症,筋減少による変形を中心とした疼痛(特に腰痛),身体能力の低下は近年増加の一途をたどる,低ビタミンD血症,低骨量,低筋量,腰痛各々の因子の相関が報告されている。腰痛を認める後弯は骨粗鬆症,骨質低下との合併が多く,生体電気インピーダンス法(BIA)を用いた2,000名以上の検討では,後弯,低骨量,骨質低下,体幹筋量,四肢筋量の低下は強い正の相関を認めた。また興味深いことに体幹筋量の低下は腰痛と相関した。男女ともに60歳以上でこの傾向が顕著になり,男性ほど筋減少率が大きいことも判明した。これらを改善させるためにわれわれはビタミンD,ビスホスホネート,運動療法の筋量への作用に関して検討を行った。高齢者の腰痛に関して,鎮痛薬以外のアプローチも含め,別の視点からの病態解明,治療が望まれる。
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