スポーツ選手における骨粗鬆症

Osteoporosis in athletes

要旨：スポーツ選手における骨量・骨密度は，スポーツ選手の骨量・骨密度測定が行われ始めた1970年代には特別な運動習慣をもたない一般対照より高値であるとの報告が多かったが，1980年代には無月経を伴う持久系女子スポーツ選手で低値を示すことが報告され，さらに持久系男子スポーツ選手でも同様の報告が続いた。このような低骨量・骨密度の原因として，視床下部性の内分泌異常による性ホルモン低下が指摘され，さらに最近ではトレーニングなどのエネルギー消費に見合うエネルギー摂取が得られていない相対的エネルギー不足（RED-S）が背景にあるという考えが主流となった。成人の長距離走選手では骨量減少が生じうるが，多くの選手では減少が持続するわけではない。骨量獲得は発育期の身長増加のピーク時の少し後にピークとなるため，この時期に骨量獲得が不十分なままだと低骨量の状態で成人期を迎え，高い負荷に耐えられなくなる危険性がある。健全な発育が保たれた発育期のスポーツ活動が望まれる。