整形外科手術 名人のknow-how
先天性橈尺骨癒合症に対する手術
高木 岳彦
1
Takehiko TAKAGI
1
1国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部,整形外科
pp.850-855
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002183
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先天性橈尺骨癒合症に対して様々な分離授動術が考案されてきた1)が,再癒合例は少なくなかった2)3)。Kanayaら4)は橈尺骨の癒合部を分離して遊離血管柄付き筋膜脂肪弁を挿入し,橈骨の骨切りを併用して脱臼した橈骨頭を整復する新たな術式を開発し,本疾患の治療に大きな前進をもたらした。高山ら3)は2000年以来Kanayaらの方法を参考に,筋膜脂肪弁についてはSugimotoらの方法5)を取り入れて有茎筋膜脂肪弁移植による分離授動術を試みてきた。しかしながら橈骨が後方に大きく脱臼するような症例では良好な回内外運動獲得は難しく,授動術による前腕回旋運動獲得には橈骨の偏心性の運動改善が極めて重要であるとの結論に至った。このため,高山ら3)は近位の癒合部近辺での橈骨矯正骨切りでは良好な矯正は得難いとし,橈骨の短縮・回旋骨切りを前腕中央部で行う改良法を考案し,継続して先天性橈尺骨癒合症の手術を行ってきた。この方法ついて筆者なりの注意点を含めて紹介し,展望について考察する。
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