特集 世界にインパクトを与えた日本の整形外科
先天性橈尺骨癒合症授動術(金谷法)の開発
金谷 文則
1
1琉球大学大学院医学研究科整形外科
pp.1159-1160
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200399
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
血管柄付き筋膜脂肪弁移植の開発
1978年に新潟大学を卒業して,同大学の故田島達也名誉教授に手外科の薫陶を受けた.マイクロサージャリーは吉津孝衛先生をはじめとする新潟大学の諸先輩からご指導を受け,1987年からのLouisville(Kentuckey, USA)留学で経験を積むことができた.1991年,琉球大学に勤務し,血管柄付き遊離皮弁を用いて種々の四肢の再建を行い,さらに難治とされた先天性脛骨偽関節症(Boyd type 2)に血管柄付き腓骨移植術を行い一期的骨癒合が得られた.
1991年の時点で,既に血管柄付き腓骨移植の報告は国内外に多数みられた.そこで骨癒合して欲しくないのに癒合してしまう状態を治療することができないかと考えたのが,「血管柄付き筋膜脂肪弁移植を用いた橈尺骨癒合症授動術」2)である.犬の椎弓切除後の再癒合を防ぐ効果が,有茎脂肪弁>遊離脂肪>シリコン>Gelformの順との報告2)があり,先天性橈尺骨癒合症の分離部に血管柄付き筋膜脂肪弁を充塡する方法を思いついた.本法はオリジナルの方法であるが,分離術に橈骨骨切り術を加えて橈骨頭を整復するアイディアは田島先生3),分離部に血管付き組織を充塡するアイディアは矢部裕先生の報告4)を参考にしたものである.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.