現代医学における漢方の活用 -―基礎編―

How to use Kampo in modern medicine；a basic guide

要旨：日本は西洋至上主義的な思考傾向があるせいか，素晴らしい自国の伝統・文化や制度などを忘れがちである。漢方という日本の素晴らしい伝統医学をエキス剤というツールで気軽に全医師が活用できる状況にありながら，十分には普及していない。特に整形外科医の間では顕著である。教育環境が原因と考えるが，最近は難しい漢方理論を抜きにして現代医学的に解釈して気軽に使う動きが広がってきており，整形外科医が学びやすい環境もできつつある。漢方初心者あるいは漢方専門医を目指さない整形外科医が漢方を学ぶ際のポイントは，具体的な処方の仕方と副作用という最低限の知識は習得しながら，漢方医学的診断を要しない病態・疾患のみを対象に推奨エキス剤を処方して経験を重ねていくことである。自分や家族の体調管理にエキス剤を活用し，効果を実感することもお勧めしたい。