症例からみた整形外科で有効な漢方処方 -―よく診る疾患を中心に―

Kampo medicine for orthopaedic outpatient

要旨：本稿の目的は整形外科外来での漢方治療がどれだけ有効であるかを提示することである。整形外科領域において，以前は疼痛性疾患や感染症に対しては西洋医学的治療を優先するべきであると考えられていた。しかし，疼痛性疾患に対しても漢方治療は可能であり，感染症に対しては西洋医学的治療に加えて漢方治療を補助的治療として行い効果を上げている。整形外科疾患のうち結晶沈着性疼痛性疾患，腰痛，手根管症候群，手指関節症，術後感染症などの疾患を提示して，西洋医学的な解説として病理学的な解説と漢方医学的な考察を記載した。また，筆者の経験から漢方治療の学習方法を簡単に述べた。