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論文の評価とは? 数字がすべてか
相澤 俊峰
1
Toshimi AIZAWA
1
1東北大学大学院医学系研究科医科学専攻外科病態学講座,整形外科学分野
pp.345-345
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002082
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私たちは自身の研究成果を英語論文として発表する。これは本来,自身の研究や経験を国内外に発信し,「ほんのわずかでも医学の発展に寄与したい」と願うからであろう。研究者の業績は,これまではインパクトファクター(impact factor;IF)で評価されてきた。IFはクラリベイト社が発表するもので,雑誌が掲載した論文の被引用回数を,掲載した論文数で除して算出される。論文というより,その雑誌の価値を示す。例えばAという雑誌に投稿する場合には,Aに掲載された論文を5本以上引用すること,という条件を加えればIFを恣意的に上げられる。あるいは,引用されやすい論文を少数掲載して雑誌を作れば,IFは自ずと高くなる。2020年に最もIFが高い医学雑誌は『CA:A Cancer Journal for Clinicians』で292.2であり,『Nature』の7倍である。この雑誌は基本的にはreviewの招待論文のみ1号に2~3本掲載している。引用回数の多いreview論文を少数だけ掲載する。IFが高いわけである。このIFの合計が研究者の評価であった。
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