扉
手術にまつわる数字
森岡 基浩
1
1久留米大学医学部脳神経外科
pp.849-850
発行日 2013年10月10日
Published Date 2013/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436102090
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「先生は,この手術を今まで何例されていますか」と聞かれることが最近とみに増えました.以前はこのような質問はほとんどありませんでした.患者さんにしてみれば,自分の命を預けるわけですから,手術をたくさん経験した脳神経外科医に手術をしてもらいたいと希望されるのも当然のことでしょう.しかし,患者さんが先のような質問をするのは,手術数などで病院(術者)をランキングしたり,手術の名人を大々的に放送したりする一部の浅薄なマスメディアの影響もあることは否めないと思います.
術者としての手術数の多い脳神経外科医は,経験も豊富で上手であろうと思いますが,もし,今後このように手術数で判断するような風潮が強くなったら,これからの若手の医師はどのようにして術者としての経験を積んでゆけばよいのでしょうか.どんな名人であれ第1例目は必ずあり,経験数が少ない時に手術をさせてもらえたから今があるわけです.しかし,現在は以前と違って手術数/手術成績が問われることがあり,若手の医師たちは,経験数をどうやって増やしてゆけるのか,大なり小なり不安を感じているようです.
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