焦点 数量化が内包する諸問題
座談会
数字で表わせること,表わせないこと
松野 かほる
1
,
金子 道子
2
,
前原 澄子
3
1国立公衆衛生院衛生看護学部
2日本看護協会看護研修学校
3千葉大学看護学部
pp.283-294
発行日 1983年10月15日
Published Date 1983/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200768
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前原 本日は「数字で表わせること,表わせないこと」というテーマでお話し合いしたいのですが,看護研究では,最近,数字を使って問題解決していこうという趨勢が高まってきているように思います。これは看護の研究だけではなくて,現象学的あるいは記述的な研究の方法論から始まった他の学問領域でも,できるだけ自然科学の手法に近づけようとして,数量化することで現象の因果関係を明確にしようとする,そういう研究の方法論が発達してきたと思いますが,看護の領域においても同じように,できるだけ数字で表わす,数量化するということで因果関係を明確にしうる場面というのが多いために,どちらかといえば,現在の趨勢は,数量化を頼りにする研究の方法論が発達してきている。それをながめてみますと,必ずしもそれで看護というものを明らかにできえない部分にまで数字を使っているということもありますし,また一方では,きちっとした数学的技法を用いれば明らかにしうるだろうと思うけれども,技法が未熟なために失敗をしているという研究もありますので,そういう反省を込めて,数量化がもっている危険性というようなことでお話し合いをしていただきたいと思います。
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