Japanese
English
特集 アキレス腱断裂診療のコツと最近のトピックス
アキレス腱断裂の病因・病態
Etiology and pathological condition of Achilles tendon rupture
中村 玄
1
,
安田 稔人
2
Gen NAKAMURA
1
,
Toshito YASUDA
2
1大阪医科大学,整形外科学教室
2同上,看護学部
キーワード:
Achilles tendon rupture
,
Etiology
,
Pathology
Keyword:
Achilles tendon rupture
,
Etiology
,
Pathology
pp.1619-1625
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000001517
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨:アキレス腱は下腿三頭筋の共同腱であり,人体中最大で最強の腱である。腱中央部は血流が乏しいため変性が生じやすく,断裂の好発部位であるといわれているが,断裂の原因にはさらに多くの因子が関与する。アキレス腱断裂には基盤に腱の変性が存在すると報告されている。臨床的には腱の肥厚は変性所見の一つと考えられ,超音波検査などがその診断に有用である。腱の変性の原因として外的因子と内的因子がある。外的因子としては腱への過負荷があり,腱に微小損傷が生じ,その修復過程において腱の良好な修復が阻害されると腱は変性する。内的因子には性別,年齢,体重,内科的疾患,薬剤などがある。また30歳以下の若年者では再断裂率が高いとの報告や,30代の受傷でのアキレス腱断裂例は,反対側のアキレス腱断裂の発生率が他の年代より5倍高いとの報告もある。肥満はアキレス腱の変性と,脂質異常症はアキレス腱断裂と関連すると考えられる。薬剤については,ある種の抗菌薬は断裂を誘発する可能性があり,特に高齢者でステロイドを併用している場合には注意が必要である。変性が生じたアキレス腱は,腱の力学強度が弱くなり,断裂の危険性が高まるため,今後は腱の変性を的確に診断し,断裂を予防することも重要である。
Copyright © 2020, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.