特集 人工関節後のスポーツ
扉
中島 康晴
pp.746-746
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000001304
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人工関節置換術は関節障害を有する患者の疼痛を軽減し,QOL(quality of life)を改善する極めて有効な手術であり,どの部位においても年々増加傾向にある。ひと昔前,下肢の人工関節置換術後には「できるだけ大事にしてください」と杖の使用などを勧めることが常識であった。それは当時の人工関節では経年的に摩耗や緩みが出現し,術後10年を超えると再置換する割合が増えたことを背景としている。しかしながら,材料,デザイン,手術手技を含むインプラント技術の進歩により,人工関節置換術の術後成績は飛躍的に向上した。加えて,手術時年齢の若年化,ライフスタイルの変化などに伴い,人工関節置換術後のスポーツや運動に関する関心が高まってきている。中にはスポーツ復帰を目的に手術を希望する方も決して稀ではない。スポーツ・運動は,筋力増強,敏捷性やバランスの向上などの身体機能を改善し,心理面でも良い影響をもたらすことが期待される。一方,問題点としては脱臼,破損,摩耗,インプラントの緩みなどが危惧されるが,スポーツ・運動の種類や頻度がインプラントの長期成績に及ぼす影響について論じた報告は少ない。そして術後にどの程度までスポーツを許可するのかは未だ議論の分かれるところである。
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