焦点 EBPを根づかせていくための概念モデルと方略(II)─〈環境整備・実践編〉
扉
松岡 千代
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.250
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100443
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前号では,EBP実行を推進していくための概念モデルとして,TRIP介入モデルとM-TRAINモデルを紹介した。これらのモデルは,EBP文化の形成を含めた組織全体にわたる変革を視野に入れた,いわば組織的介入モデルであった。一方,本号で紹介するIOWAモデルとAHRQモデルは,臨床の実践者が主体となってEBP実行を進めていくことができる実践者主導型のモデルである。IOWAモデルの実行例として,Iowa大学病院(UIHC ; university of Iowa hospitals and clinics)看護部で取り組まれた,腹部術後の腸蠕動音の聴取に関する取り組みや,手術室におけるダブルグローブの使用に関する取り組みについて紹介する。これら実践者主導型のモデルや実際例を通して,臨床現場におけるEBP実行のイメージを膨らませてもらえれば幸いである。
環境整備の側面からは,EBP実行を推進していくための看護リーダー(看護管理者)のあり方について,実際にUIHCで看護リーダーの研修を行なっているLaura Cullen氏から紹介してもらう。臨床現場におけるEBP実行は,個々の看護スタッフの熱意のみでは成功し得ないことが多く,看護リーダーによる側面的サポートとインフラ整備が不可欠である。UIHC看護部ではEBPコーディネーターとしてCullen氏が配属されており,病棟でのスタッフナースによるEBPプロジェクトの支援を継続的に行なっている。その実際例についてはコラムで紹介しているので,ご参照いただきたい。
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