関節軟骨再生とリハビリテーション医療

Articular cartilage regeneration and rehabilitation medicine

要旨：関節軟骨は痛みのない滑らかな関節運動を担保している。厚さ数mmしかない軟骨組織が寿命までそれなりに機能することは驚嘆に値するが，軟骨損傷や変性による関節症はロコモティブシンドロームや要介護の原因として高齢化社会の問題となっている。関節軟骨の自然治癒力は極めて小さいので，関節軟骨を再生させる治療が開発されている。1994年Brittbergらが自家軟骨細胞培養移植（autologous chondrocyte implantation；ACI）を報告し^1），越智らの開発したACIは2012年医療保険適用となった^2）。しかし，ACIは発展途上の治療法であり，整形外科とリハビリテーション，組織工学などが協働し，ACIの効果を高める再生リハビリテーションも提唱されている。ACIは組織工学的技術による再生医療の臨床応用第一号であり，今後さらに発展すると予想される。