血管性胸郭出口症候群

Vascular thoracic outlet syndrome

要旨：血管性胸郭出口症候群（vascular TOS；vascular thoracic outlet syndrome）には，それぞれ鎖骨下動脈・鎖骨下静脈が圧迫される動脈性TOSと静脈性TOSの2種類がある。頻度はそれぞれ1％未満，3％と非常にまれである。主な原因としては，胸郭部の先天奇形や繰り返す同部のストレス・外傷などが挙げられる。動脈性TOSの診断は上肢の疼痛や虚血症状であり，静脈性TOSの症状は皮下の側副血管を伴った上肢の浮腫が代表的である。画像検査としては，単純X線像や超音波検査，CT/MRIが有用である。治療は，頚肋や第1肋骨・斜角筋切除などの外科的除圧術を中心に，血管切除や再建術が行われる。また近年，低侵襲な血管内治療が進歩しつつあり，今後その治療法も発展していくと思われる。