胸郭出口症候群と頚椎疾患の鑑別

Differential diagnosis between thoracic outlet syndrome and cervical disorders

要旨：頚椎疾患で上肢症状がみられるものは多い。胸郭出口症候群は末梢神経障害の一つであり，より中枢で障害される頚椎疾患との鑑別には障害パターンの違いを見分ける必要がある。脊髄症を呈する頚椎疾患であれば錐体路症状の有無，歩行障害など下肢症状があるかどうかが最も重要である。神経根症を呈する頚椎疾患であれば，各レベルに応じた神経根障害を呈しているかが鑑別の基本となる。非典型的神経徴候をきたす頚椎症性筋萎縮症では，障害パターンのほかに電気生理学的検査を含めた総合的な判断が必要となる。